事業承継税制が贈与直前の役員就任でも適用可能となりました
2024年12月20日、与党税制改正大綱が公表され、法人版事業承継税制が見直され、役員就任要件が緩和されることになりました。すなわち、改正前の「贈与の日まで引き続き3年以上」の役員就任期間が、「贈与の直前において役員であること」と改正されます。
改正前の事業承継税制には、先代経営者が自社株式を後継者に贈与する場合、後継者は事業承継の時点までに3年間、同社の役員に就任していなければならないとする要件(役員就任要件)があります。これは、早期の事業承継のみならず、計画的な事業承継をすすめるために必要とされる要件です。
ところが、事業承継税制の適用期限は2027年12月31日までであるため、この要件によって、後継者は遅くとも2024年12月末までには役員に就任していなければいけないことになっていました。
他方、コロナの影響が長期化したことを理由として、特例承継計画の提出期限が 2026 年3月末まで延長されています。計画の提出期限がせっかく延長されているにもかかわらず、後継者の役員就任は2024年12月末までに、となると、これからじっくりと事業承継に取り組みたいという経営者にとって大きな障害になってしまいます。
こうしたことから、後継者の役員就任要件は撤廃または見直しすべきとする要望が各所から出されていました。
改正の結果、役員就任は贈与直前でも良いことになります。特例承継計画をまだ提出していない会社にとっては、慎重に計画を練る時間的な猶予ができました。
なお、今回の大綱は、事業承継特例について、「極めて異例の時限措置」であることから、適用期限である2027年12月末は「今後とも延長しない」と宣言しています。特例の適用期間の延長措置は期待できそうにありません。少しでも関心のある方は、猶予された時間を有効に使い、特例承継計画の提出だけでもなされる方が安心でしょう。
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