2021年1月 5日
新たなグループ再編手法としての株式交付
~令和3年度税制改正大綱より~
令和3年度税制改正により、株式交付※1を利用した株式対価M&Aについて、株式譲渡損益の課税繰延制度が導入されました。
株式交付とは、買収会社が対象会社を子会社とするために対象会社の株式を譲り受け、対価として買収会社自らの株式を交付する制度です。上場企業による現金を使わない企業買収手法として紹介されていますが、企業買収とは無縁の中小企業にとっても、新たなグループ再編手法として注目されます。
例えば、下記のような現状において株式交換により持株会社化した場合には、遠縁の親族などの少数株主が、持株会社の株主に置き換わります。一方、株式交付により持株会社化した場合における少数株主は、引き続き事業会社の株主として存続します。
従来、株式譲渡益の課税繰延措置の適用を受けるためには2の株式交換制度を利用するしかなかったのですが、これからは3の株式交付制度を利用することもできます。再編ニーズに応じて適切に使い分けたいものです※2。
![1](https://www.u-ap.com/report/images/vol36/image_vol36_2.gif)
※1 令和元年の会社法改正により創設された制度で、令和3年3月に施行の予定です。
※2 本レポートは令和3年度税制改正大綱に基づき執筆されたものです。今後公表される法律、政令、府令、省令、通達により異なる課税関係が定められる可能性があります。
過去のUAPレポート
- レポート検索