2016年6月21日

税務署は法務局の株主リストを閲覧できるようになるのか?

 商業登記規則が改正されて、役員の変更登記などの株主総会決議が必要な登記申請書には、2016年10月1日から、新たに株主リストの添付が義務づけられることになります(改正内容はパブリックコメント募集時のウェブサイトを参照)。法務省の資料によると、「株主総会議事録等を偽造して役員の変更登記を行った上で会社の財産を処分するなどの犯罪を抑止するため」とのことですが、株主名簿を(あえて?)整備していない中小企業には頭の痛い改正となっています。また、株主リストには、「議決権割合の高い上位10名の株主」又は「上から議決権割合3分の2に達するまでの株主」のいずれか少ない数の株主について、①氏名又は名称、②住所、③各株主の株式数・議決権数及び④各株主の議決権割合、を記載する必要があります。

 税理士として気になるのは、果たしてこの株主リストを税務署が税務調査の一環として閲覧できるのか?ということです。もちろん法人税申告書別表2に全株主を記載している会社は心配する必要はないのですが、そうでない会社もあるでしょう。以前から登記附属書類の閲覧は、登記官が「利害関係が明らか」と判断した場合のみ認められているところ、今回のパブリックコメントにおいても「その事案ごとに利害関係の有無を登記官が審査した上で決せられることになります」と回答されています。

 登記官は、税務調査を「利害関係が明らか」と判断するのでしょうか?個々の登記官により異なるかもしれませんが、いずれにしても税務署が株主リストを閲覧する可能性があるという前提で、株主リストを作成したいものです。

2016年6月21日 (担当:平野和俊)

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