2016年4月26日

2017年から外国の金融口座情報が日本の税務当局に筒抜けに!

OECDが主導する「金融口座情報の自動的交換」が2017年からいよいよ始まります。「金融口座情報の自動的交換」とは、タックスヘイブンなど国外の金融機関を悪用した脱税・租税回避を防止するために、非居住者として各国に保有されている金融口座情報を、税務当局間でほぼ網羅的に自動交換するものです。例えば、日本人が香港のHSBCに隠し口座をもっていても、その残高、利息収入などが、HSBC→香港の税務当局→日本の税務当局、という経路で自動的に報告されるという仕組みです。

制度の適用国は下表の通りタックスヘイブンの地域も含まれており、2017年適用国と2018年適用国に分けられます。2017年適用国は2016年分の利息収入や2016年末の預金残高が報告対象となりますから、既に報告対象期間はスタートしています。報告義務がある金融機関には、銀行の他、証券会社や保険会社も含まれており、口座保有者の氏名、住所、口座残高、利子・配当等の年間受取総額などが報告対象となっています。ある意味、国内の金融機関で運用するよりも丸裸になるわけです。
なお驚くべきことに(当然?)、現時点で米国はこの制度に参加していません。実施済みのFATCAで十分でしょう、というのが米国の言い分です。世界中のアングラマネーが米国に向かうのでしょうか?

<2017年適用国(2016年分から報告):アルゼンチン、ベルギー、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、キプロス、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ガーンジー、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、マン島、イタリア、韓国、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国(55の国・地域から抜粋)>
<2018年適用国(2017年分から報告):オーストラリア、オーストリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、イスラエル、日本、マカオ、マレーシア、ニュージーランド、ロシア、サモア、サウジアラビア、シンガポール、スイス、トルコ、UAE(43の国・地域から抜粋)>
<適用予定のない国・地域:バーレーン、パナマ>
(出所)OECD "AEOI: STATUS OF COMMITMENTS (As at 14 April 2016)"

2016年4月26日 (担当:平野和俊)

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