2015年1月 7日

外国債券、外貨建MMFは2015年が売り時?

 2014年は年の後半にかけて一段と円安が進み、外貨建資産の保有者にとっては望ましい展開となっています。2016年から公社債等の譲渡損益に対する課税が現在の非課税から株式と同様の取り扱いに変更される※1ことを踏まえ、外貨建資産としてなじみの深い外貨建MMFと外貨建公社債※2を保有する個人を念頭に、2015年にとるべき対策を考えてみます。

 まずは外貨建MMFです。外貨建MMFは外貨建ての短期債券を中心に運用される投資信託であり、その外貨建て価格には大きな変動がありません。また、申込・換金手数料が無料なことから、柔軟に換金・再投資を行える点が魅力です。この利点を活かし、円安局面では為替差益部分を非課税で実現するために積極的に換金をし、継続して保有を望む場合には換金後に改めて投資をしたいところです。利益確定をするために円に戻す必要はなく、外貨受取でも円換算した金額で譲渡損益が計算されます。したがって、再投資を前提にすると、為替手数料のかからない外貨受取がベターです。ただし、取り扱い金融機関によっては換金後の外貨受取を認めていない点や外貨受取後再投資するまでの間に為替差損益が生じた場合は雑所得となる点には注意が必要です。

 続いて外貨建公社債です。外貨建公社債は、金利・信用リスク等為替以外の価格変動要因が大きく、一度売却すると同条件の債券の購入が難しいと言った外貨建MMFとは異なる特性をもつため、外貨建MMFのようにとりあえず利益確定の売却とするのは早計です。少なくとも債券の時価・為替相場の動向、再投資先の見込み、売却代金が外貨のまま受け取れるか等を考慮した上で、タイミングを見て譲渡するかどうかを考えたいところです。仮に2015年中に売却をしなかった場合でも、2016年以降は債券の譲渡損益と株式の譲渡損益が通算でき、過年度から繰り越した上場株式等の譲渡損失との通算も可能です。

 今回取り上げなかったゼロクーポン債等についても譲渡損益に対する課税が総合課税の譲渡所得から申告分離課税へ変更となるように、債券に対する課税は2016年から大きく変わります。債券保有者は税制改正の内容を良くご確認ください。

2015年1月7日 (担当:吉田暁弘)

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※1  現在の税制では、公社債等※2を売却した場合の譲渡益は、経過利子の反映であるという考え方に基づいて非課税であり、公社債等が外貨建であるときは為替差損益に相当する部分も含めて円換算額をベースに譲渡損益が計算されるため、結果として為替差益も非課税になります。これが、2013年度税制改正により2016年以降は株式と同様に20%の申告分離課税となります。

※2  ゼロクーポン債、ストリップス債等の特殊な債券は除きます。

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