10%軽減税率の証券税制終了をにらんだ年内の対策
平成15年から当初5年間の時限措置として導入され、その後数回にわたり延長されてきた上場株式等に係る10%の軽減税率(所得税7%、住民税3%)ですが、ついにこの平成25年をもって終了することになりそうです。平成26年からの税率アップを控えて年内にどのような対策を採ることができるのかを考えてみたいと思います。
まず考えられるのは、保有する上場株式等については軽減税率の適用がある平成25年中に売却を行い、利益を確定してしまうことです。売却益に対する税率は10%で済みますし、過去3年間に生じて繰り越している上場株式等に係る譲渡損失がある場合にはその損失との損益通算をすることも可能です。今後一層の値上がりを見込むために保有する株式等を手放したくない場合でも、一度利益を確定した後再び買い戻しをすることで売却時点までの含み益を10%課税で実現し、将来の譲渡所得計算上の取得費を上げることができます。一方、含み損を有する上場株式等については、平成25年中に生じた利益と相殺する目的で損失を実現するという手もありますし、税率アップ後の平成26年以降の譲渡益と損益通算するためにあえて損失を実現せずにおくということも選択肢として考えられます。
ここまでは簡単に実行することができますが、過年度から繰り越した譲渡損失や平成25年中に生じた譲渡損失がある場合に、10%の軽減税率となる上場株式等に係る譲渡益はこれら損失とあえて通算させず、これら損失を1円でも多く20%課税となる平成26年以降に繰り越したい場合には一工夫が必要です。具体的には、まず上場株式等に係る譲渡益は確定申告が不要な源泉徴収ありの特定口座(源泉徴収選択口座)で実現し、確定申告に含めないようにします。同様に上場株式等に係る配当についても確定申告不要制度に基づいて申告しないようにします※。源泉徴収なしの特定口座内にある上場株式等については、源泉徴収ありの特定口座に変更した上で譲渡益を実現するか、源泉徴収ありの他の証券会社の特定口座に移管した上で実現します。一方、上場株式等に係る譲渡損失が生じる場合には特定口座内で譲渡益との損益通算をされないように譲渡益が生じていない特定口座又は一般口座で譲渡損失を実現し、過年度から繰り越した上場株式等に係る譲渡損失とともに確定申告を行って平成26年に繰り越すことで実現できます。上場株式等に係る譲渡損失は発生の翌年以後3年間しか繰り越すことができませんので、平成26年以後に相殺する譲渡益がでなければ損失が無駄になってしまいますが、毎年定期的な上場株式等の配当がある方や、譲渡益を上げる自信のある方にとっては、相殺できる譲渡益に対する税率アップ分だけ譲渡損失の価値が上がるだけに一考の余地があるかもしれません。

※発行済株式の総数等の3%以上の株式を有する大口の個人株主は総合課税で申告が必要
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