2012年11月12日

売上5億円超法人を擁するグループの消費税免税点制度利用に制限~平成26年4月1日以後新設法人の消費税には要注意~

 消費税率引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の成立により、資本金1,000万円未満の新設法人の免税事業者判定について、下記の通り消費税法が改正されています。

■ 資本金1,000万円未満の新設法人であっても、課税売上高が5億円を超える事業者がグループで50%超出資して平成26年4月1日以後に設立する法人については、設立第1期と第2期において※1、免税事業者となることはできない(消法12の3①、消附4)。

 この改正は、平成23年10月に会計検査院が指摘した「資本金1,000万円未満の新設法人においても、設立当初の第1期事業年度から相当の売上高を有する法人や設立2年以内の事業者免税点制度を利用した租税回避等を行っている法人が見受けられている。」を踏まえて※2、かねてより批判の多い新設法人による「益税」を解消することにより、消費税率引き上げ法案の成立をスムーズにする意図だったかと考えられます。

 適用対象判定のポイントは、その新設法人に対して、課税売上高が5億円を超える事業者が「グループで50%超出資」しているか否かであるところ、政令で定めるとされているグループの定義はまだ公表されていません。改正消費税法の条文からは、株式の保有関係がない実質的な支配関係法人もグループに含めるように読み取れますので、形式的に第三社を株主とすることによる課税事業者逃れにも対応しているようです。いずれにしても詳細は政令公表を待つ必要があります。

2012年11月12日 (担当:齊藤啓明)

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※1 厳密には、その法人の基準期間(前々事業年度)がない事業年度が対象となり、事業年度開始日において適用の判定をします。

※2 平成22年度税制調査会補足資料によると、人材派遣業者が免税事業者である子会社(従業員は2年ごと転籍)を経由して人材派遣事業を行うことによる消費税の脱税事例が紹介されています。

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