2012年8月14日
設立5年内のグループ法人との組織再編は要注意!
A社が新設の分社型分割で100%子会社を2社設立します。最初にB社、次にC社です。そして5年以内にB社がC社を吸収合併します。税務上何か問題が発生するでしょうか?
まず、100%の支配関係が継続する組織再編ですから、適格組織再編となり、資産・負債が簿価で引き継がれることは問題ありません。ところが、B社がA社から含み損資産を承継しており、これを合併から3年以内に譲渡した場合に発生する損失は、損金に算入することができません(法法62条の7①)※1。これは、当事者であるいずれかの法人の設立時からグループ関係にある法人間の組織再編は、グループ外法人の取込みとは言えないためこのような損金不算入規定の適用は受けないものの、C社がB社の親会社であるA社から適格分割により設立されている場合には、その例外とされる(つまり、損金不算入となる。)ためです(法令123の8①二イ)。なぜこのような例外規定があるか考えてみると、例えばA社がグループ外の第三者から含み損資産を持っているB社を購入して、その後適格分割でC社を設立して含み益資産を移転させ、更にB社・C社が合併して含み損と含み益を実現させた場合に、C社設立時からB社・C社がグループ関係にあることをもって損金不算入規定の適用対象外とするのは好ましくないからと考えられます。とは言うものの、本件のようにB社も設立時からグループ内にある場合で、グループ内のA社より含み損資産を承継したときは、グループ外法人の損を取込んでいるとは言えないため、損金不算入規定の適用を受けるのは酷な気がします。

※1 B社全体として含み益があるときは、例外的に損金不算入規定の適用はありません(法令123の9)。
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