2012年5月30日

非上場の外国法人株式は相続のときどう評価するか?

 企業の国際化に伴い相続財産に非上場の外国法人株式が含まれる場合が増えてきています。非上場の外国法人株式の評価方法については、従来、財産評価基本通達では明確な定めがなくはっきりしませんでしたが、国税庁は平成24年1月に更新した質疑応答事例において、下記の通り回答しています。

1. 原則として類似業種比準方式に準じて評価することはできない(つまり、純資産価
   額方式に準じて評価する)。
2. 純資産価額方式に準じて評価する場合に控除する法人税等相当額(いわゆる42%
   控除※1)は、外国法人の所在する国における日本の法人税、事業税、道府県民税
   及び市町村民税に相当する税の税率の合計割合を評価差額に乗じて計算すること
   ができる。

 このうち2.の法人税等相当額については、よくよく考えると下記のような疑問がわいてきます。

・ 国外源泉所得が課税されない国の外国法人が所有する国外財産から生じる評価差
 額についても、法人税等相当額を控除していいのだろうか?
・ キャピタルゲイン課税がない国の外国法人についても法人税等相当額を控除してい
 いのだろうか?
・ 法人税等を損金算入することができる国の税率も単純に合計するだけでよいのだろう
 か?
・ 累進税率の場合は、一番高い税率を合計すればよいのだろうか?

 課税上弊害のない限り一律に法人税等相当額として控除できると考えますが、各国税制は様々ですから、申告実務上は悩ましい限りです。

2012年5月30日 (担当:平野和俊)

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※1 平成24年4月1日以後の相続等からは45%控除ではなく42%控除とする改正が行われています。

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