2011年9月 6日

匿名組合出資持分の譲渡損失は損益通算できるのか?

 個人の匿名組合員が営業者から受ける利益の分配は、原則として雑所得となります。これは通達上明確です。では、通達上所得区分が明確でない匿名組合出資持分の譲渡による損失は、他の所得と損益通算できるのでしょうか。

 この点について平成14年7月1日付の国税不服審判所の裁決によると、匿名組合出資持分が匿名組合貸借対照表において運用資産の時価が借入額を上回るような資産超過の状態であれば、それは『資産』と解され、その『資産』を譲渡したことにより生じた損失に限り、譲渡損失として損益通算できるとされています。したがって、債務超過の状態であれば、『資産』と解することはできず、『資産でないもの』を譲渡したことにより生じた損失は、その計上はもちろんのこと損益通算もできないことになります。

 匿名組合出資持分の譲渡による損失は必ず損益通算できるわけではないようです。損益通算を検討される場合には、まず譲渡時点における運用資産の時価評価を行い、匿名組合貸借対照表が資産超過であることを確認しましょう。

2011年9月6日 (担当:桑田洋崇)

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