2011年4月25日
任意組合を利用した実質的な損益通算
任意組合の組合員の所得計算は総額方式を原則としながらも、継続適用を前提として中間方式又は純額方式によることも許容されています(所基通36・37共-20)。中間方式又は純額方式によると、引当金などの一定の適用を受けることができないことから、一般的には総額方式が有利とされています。
ところが、個人が純額方式(最終的な組合損益だけを取り込む方式)によると、総額方式では認められない所得の種類の転換や損益通算が可能となり、総額方式よりも有利な場合があります。税務当局が、このような純額方式による申告に対して、通達の文言としては表示されていないものの、中間方式や純額方式によることができるのは課税上の弊害が生じないとき等に限られるとして総額方式に基づく更正をして訴訟となった事案があります。この点について東京地方裁判所は、平成23年2月4日判決(未公開)において、課税要件明確主義(租税法律主義)の趣旨に反するとして全面的に納税者勝訴としています。
この判断はもっともでしょうが、任意組合を経由すれば分離課税も総合課税になるというのも違和感があります。これを受けた法令・通達改正が近々にあるのではないでしょうか。
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