2011年1月 7日
海外資産運用会社のタックスヘイブン対策税制逃れは封じられるのか?
平成23年度税制改正大綱によりますと、複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について、最も低い税率を上回る部分は、いわゆるタックスヘイブン対策税制の適用上外国法人税に該当しない、とする改正があります。
これは、タックスヘイブン対策税制のトリガー税率を上回る税率を外国税務当局と合意により決定している事案(いわゆるガーンジー島事件)で、明文規定がない以上外国法人税に該当すると判じた納税者勝訴の最高裁判決(平成21年12月3日)を踏まえ、今回の税制改正で課税できるように改正したものです。
従来、海外において資産運用会社を設立し、タックスヘイブン対策税制の対象外となるように、トリガー税率20%(平成22年3月31日以前は25%)をわずかに超える税率により任意自主的に納税することで、タックスヘイブン対策税制の対象外とするスキームが実行されてきました。今回の改正で、最も低い税率が20%以下の国・地域にある海外資産運用会社の所得は、合意により20%超の外国法人税を納税していても、日本居住者の所得に合算して申告しなければなりません。
詳細は法案を見ないと何ともいえませんが、スキームの見直しが必要となるケースもあると思われます。
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