先行取得土地に係る特例創設で買換え実務はどう変わるか
~平成21年度税制改正大綱より~
平成21年12月12日に自民党から平成21年度税制改正大綱が発表されました。土地税制について大きな改正はないと予想されていましたが、発表直前になって「1,000万円特別控除制度創設」と「先行取得土地に係る特例創設」が土地取引の活性化策として浮上し、大綱に盛り込まれました。
本稿では「先行取得土地に係る特例創設」が来年以降の買換え実務にどのような影響を与えるのかを検討します。
先行取得土地に係る特例の内容は税制改正大綱において、「事業者が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に、国内にある土地等の取得をし、その取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までにこの特例の適用を受ける旨の届出書を提出している場合において、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その事業者の所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行して取得をした土地等について、他の土地等の譲渡益の80%相当額(その先行して取得をした土地等が平成22年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得をされたものである場合には、60%相当額)を限度として、圧縮記帳ができることとする。(注)土地等が棚卸資産である場合には、他の課税の特例と同様に、本特例の対象とはならない。」と記載されています。
つまり、10年間の先行取得を認める新たな特定資産買換え制度が創設されたということです。買換資産については、平成21年および平成22年中の取得が要件とされており、譲渡資産については、買換資産取得事業年度の翌事業年度以後10年間の譲渡が要件とされています。大綱記載の要件がすべてであれば、譲渡資産は短期所有土地等でも構わないこととなりますので、買換え制度としては画期的です。
なお、この特例の対象となる「事業者」の範囲は大綱において明確ではありませんが、法人および個人事業者を包含する概念ではないかと推察します。
いずれにしても税制改正大綱のみでは特例の内容ははっきりしないため、今後定められる法令等が待たれます。
過去のUAPレポート
- レポート検索