経営承継円滑法の事業承継税制適用のために生前にやっておくべきこと
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「経営承継円滑化法」といいます。)が平成20年10月1日から施行されています。経営承継円滑化法に盛り込まれた事業承継税制の適用を受けるためには、原則として被相続人の生前に、下記要件のいずれにも該当することについて、経済産業大臣の確認を受けておく必要があります※1。具体的には、確認申請書に一定の書類を添付して全国9ヵ所にある地方経済産業局に提出します。
1.会社であること。
2.上場会社又は風俗営業会社に該当しないこと。
3.特定代表者(代表者※2であって、同族関係者と合わせて総株主等議決権数の50%超の議決権数を有し、かつ、同族内で筆頭株主である者)がいること。
4.特定代表者の親族である特定後継者(現在の代表者または代表候補者であって相続等による株式取得が見込まれる者)がいること。
5.株式承継の具体的な計画を有していること。
実際に事業承継税制の適用を受ける場合には、この生前の確認を経たうえで、被相続人の死亡時に経済産業大臣の認定を受ける必要があります。この認定を受けるための主な要件は下記のとおりです。
1.従業員の数が1人以上であること。
2.資産保有型会社に該当しないこと。
3.資産運用型会社に該当しないこと。
事業承継税制にはメリット、デメリットがあり、一概に適用を受けることが有利と結論付けることはできません。とはいうものの、実際に適用を受けるか否かは被相続人の死亡時に決めればよいことです。現時点において認定の要件を満たしていなくても、将来どのように状況が変わるかわかりませんので、確認の要件を満たしているのであれば、選択肢を広げる意味からも被相続人の生前に確認を受けておくことをお勧めします。
※1平成22年3月31日までに発生した相続や被相続人が60歳未満で死亡した場合などには経済産業大臣の確認は不要です。
※2 代表者であった者を含みます。
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