2007年12月20日

株価対策の配当時期に要注意~定時株主総会で配当決議しても直前事業年度の配当金額として取り扱われません~

富裕層の資産保有会社は、巨額の純資産価額にかかわらず、利益は赤字基調のため、配当もしておらず、財産評価基本通達における株式評価上比準要素数1の会社(類似業種比準価額を25%しかミックスできない。)とされ、評価額が割高になっている場合が往々にしてあります。

このような比準要素数1の会社の株価対策として、少額の配当をすることにより、比準要素数1の会社としない方法がよく行われます。旧商法時代には各事業年度に係る「利益処分による配当」を少額行うことにより各事業年度の年配当金額として、類似業種比準価額を計算することが可能でした。

しかし平成18年10月27日付財産評価基本通達改正により、1株当たりの配当金額は「直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額」を基に計算することとされました。具体的には直前期末以前2年間に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額ということになります。つまり、旧商法時代の感覚で、直前事業年度に係る定時株主総会で配当決議しても、当該配当は当該直前事業年度に係る配当金額とは取り扱われないということです。

平成18年中贈与については、経過措置で改正前と同様に1株当たりの配当金額を計算していましたので、改正後の規定で申告するのは平成19年度分が初めてということになります。

平成20年3月の贈与税申告時にあわてないように、今から準備しておきたいものです。

2007年12月20日(担当:平野 和俊)

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