金融商品取引法の施行で再注目されるTMKスキーム~早ければ2007年9月にも本格施行~
2006年6月に成立した金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)は、早ければ2007年9月にも本格施行と言われ、不動産投資スキーム及び不動産業界に多大な影響を及ぼすことが予想されています。以下いわゆるTKスキームの運用に係る規制について検討します。
原則的取扱い
SPCが集団投資スキーム持分である匿名組合出資により受けた資金を、みなし有価証券に定義付けられた不動産信託受益権に投資する業務を行うためには、「投資運用業」の登録がSPCにおいて必要となる。
例外その1(適格機関投資家等特例業務)
投資運用業務がプロ向けの適格機関投資家等特例業務に該当すれば、SPCは登録を免除される(届出は必要)。
例外その2(投資運用業者に一任)
投資運用業登録したアセット・マネージャー(以下「AM業者」といいます。)に投資運用権限を一任すれば、SPCは登録を免除される。
原則的取扱いに沿ってSPCが投資運用業の登録をすることは現実的ではありませんので、例外その1又は例外その2の適用を受けることになります。
例外その1によるとSPCの登録は免除されますが、この場合でもAM業者が登録なく、投資運用業務を行ってよいことにはなりません。SPCにとってAM業者の存在は不可欠ですが、投資助言・代理業の登録しかないAM業者は、受託業務が「投資一任」ではないことについて、相当神経を使うことになりそうです。
例外その2が現実的な方法ですが、投資運用業の参入規制、兼業規制はたいへん厳しいものとなっており、投資運用業の登録をするAM業者は大手を中心として限られてしまうと言われています。従いまして、小規模の非プロ向けファンドの組成・運用が非常に困難になることが予想されます。
以上はTKスキームに係る規制で、資産流動化法に基づくいわゆるTMKスキームで現物不動産を取得・運用する場合には、上記の規制はありません。つまり、従前通りTMK・AM業者両社とも登録は不要です。かつて「使い勝手が悪い」と酷評されたTMKスキームですが金融商品取引法の本格施行で再注目されることになりそうです。
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