中間省略登記が認容される場合と課税上の取扱い
従来、不動産の売買において、副本申請の方法により事実上認められていた「中間省略登記」は、登記原因証明情報の添付を必須とする平成16年の不動産登記法改正後はできなくなっていました。
ところが平成18年12月25日付内閣府規制改革・民間開放推進会議による「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」によりますと、「第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転登記」又は「買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転登記」については、実体上も中間者を介在することなく、直接所有権が移転しているため、当該第三者又は買主地位の譲受人への移転登記が可能である旨を同会議は法務省に確認した、と記載されています。
このうち、後者の「地位譲渡」による方法は、不動産登記法改正前から実務上多用されてきた方法ですが、前者の「第三者のためにする契約」という概念はあまり聞いたことがありません。契約形態としては、甲乙間及び乙丙間でそれぞれ売買契約を締結するものの、甲乙間の売買契約には所有権移転先を第三者である丙とする特約を付すような形態になると想定されます(詳細は今後法務省から発表されると思われます)。
気になるのは中間者における税務上の取扱いです。まず「地位譲渡」につきましては、以前より明確な規定はありませんでしたが、手付金相当額を地位譲受人から受領する一般的な地位譲渡契約につきましては、消費税法上の課税取引に該当せず、不動産取得税もかからないと解されてきました。但し地位譲渡に伴って譲渡益が発生するような取引につきましては、実質的には「転売」と認定される可能性もあることから、地位譲渡者について消費税及び不動産取得税についての課税リスクが懸念されていたところです。
一方「第三者のためにする契約」につきましては、税務上はいわゆる「転売」と何ら異なることはないと思われますので、中間者において消費税法上は資産の譲渡等に該当し、不動産取得税の課税対象になるものと思われます。
今後の法務省の発表に伴い、これらの取引に係る法人税、消費税及び不動産取得税の課税上の取扱いも明確になって欲しいものです。
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