有限責任事業組合(日本版LLP)の会計の概要
平成17年5月6日に公布された「有限責任事業組合契約に関する法律」(LLP法)が平成17年8月1日から施行されました。LLPの会計についてもこの法律及び「有限責任事業組合に関する法律施行規則」により規定されています。
LLPは、「出資者全員の有限責任制」でありながら「自由な機関設計・損益配分」を可能とした事業体であり、民法組合の特例制度として創設されました。LLP法にはこれらLLPの特徴を実現するための内容が整備されており、会計制度についてもその趣旨を踏まえ、組合員ごとの財産・損益の明示や企業会計慣行の準用などが規定されています。
会計の原則は施行規則によるほか、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとされており、この原則に基づいて作成された会計帳簿は重要な資料とともに10年間保存されると同時に、その写しが各組合員に交付されます。
会計帳簿は設立時、組合事業年度終了時だけでなく、組合員の加入及び組合員による新たな出資があった時、損益分配割合の変更時、組合員の脱退時並びに組合財産分配時にも作成しなければならないものとされており、この点はLLPの会計の特徴となっています。
会計帳簿には各組合員が履行した出資の価額及びその合計額、貸借対照表及び損益計算書の各科目の組合員別の内訳、分配した財産の組合員別の内訳等を記載すべきものとされています。
LLPでは労務出資・信用出資がみとめられておらず、金銭その他の財産のみを出資の目的とすることができますが、金銭以外の財産を出資の目的とする場合の出資価額は、原則としてその財産の時価を付すものとされています(その他の財産の評価は商法施行規則によります)。また、金銭以外の財産の分配をする場合の分配金の価額も同様に原則としてその財産の時価を付さなければなりません。
財務諸表(貸借対照表、損益計算書及び附属明細書)の作成は商法施行規則によりますが、貸借対照表の純資産の部は出資金、累計損益金、累計分配金の各部に区分されます。また、組合員に対する債権・債務、組合員との取引高、分配可能額(分配日における純資産価額から300万円または出資の総額のうちいずれか少ない額を控除して算定する)が注記事項として定められています。
組合員は事業年度終了後2月以内に財務諸表を作成し、これを10年間備え置き、債権者の請求に応じて開示しなければなりません。
以上、LLPの会計の概要について触れましたが、今後活用の増加が見込まれる事業体制度であるだけに会計制度の早期整備が期待されるところです。
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