2004年12月21日

民法組合等を利用した組合事業損失の損益通算(損金算入)の制限

自由民主党「平成17年度税制改正大綱」より抜粋

<法人組合員に係る規定>
民法組合、匿名組合等の法人会員(組合に係る重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う法人組合員等を除く)の組合損失について、次のように取り扱う。

1.組合債務の責任の限度が実質的に組合資産の価額とされている場合等には、その法人組合員に帰属すべき組合損失のうち当該法人組合員の出資の価額として計算される金額を超える部分の金額は、損金の額に算入しない。
2.組合事業に係る収益を保証する契約が締結されていること等により実質的に組合事業が欠損にならないことが明らかな場合には、その法人組合員に帰属すべき組合損失の全額を損金の額に算入しない。
※上記の改正は、原則として平成17年4月1日以後に締結される組合契約について適用される。

<個人組合員に係る規定>
不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等(外国におけるこれに類似するもの を含む)の個人の組合員(組合の重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結す るための交渉等自らその執行を行う組合員を除く)の当該民法組合等に係る不動産 所得の金額の計算上生じた損失については、なかったものとみなす措置を講ずる。

※上記の改正は、平成18年分以後の所得税及び平成19年度分以後の個人住民税について適用する。


1.法人組合員の取り扱い
上記改正により、投資リスクがないにもかかわらず、定率法に基づく減価償却費を計上することによる課税の繰延を目的とした損失は、その損失金額の全額が損金不算入ということになります。

また投資リスクが出資額を限度とされている場合には、損金に算入できる損失の金額はその出資額が限度となります。つまり、いわゆるオペレーティング・リースでレバレッジを大きくかけているものについて、その損失額の一部が損金不算入とされるケースがでてきます。

今回の改正は平成17年4月1日以後に締結される組合契約について適用されますので、平成17年3月31日以前に締結された組合契約については、原則として損金算入に制限を受けることはありません。

2.個人組合員の取り扱い
個人組合員については、民法組合等に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失がなかったものとされることとなりました。この改正が、1.組合等から生じた損失をなかったものとして、損益通算はもちろん他の不動産所得との通算もできないものとするのか、2.他の不動産所得と通算しても控除しきれない損失が生じた場合において給与所得など他の所得との損益通算ができないものとするのかはっきりしませんが、少なくとも他の所得との損益通算による課税の繰延・軽減はできないことになります。

この規定は平成18年分の所得税及び平成19年度分の個人住民税から適用されることとなります。法人組合員の場合と異なり、既契約分についても適用されることとなりますので、注意が必要です。

2004年12月21日(担当:石渡正樹)

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