2004年12月21日

平成17年度税制改正大綱概要

12月15日、自民・公明の与党2党は平成17年度税制改正大綱を発表いたしました。景気回復・雇用情勢の改善・個人消費の増加が着実に進んでいるとの見方から、「あるべき税制」の具体化に向けて個人所得課税の抜本的見直しに主力を置いた内容となっています。

焦点となった定率減税については、経済状況を踏まえつつとしながらも、平成18年度廃止に向けての暫定措置として、平成17年度においては減税幅を2分の1に縮減させることになりました。個人所得税において寄附金控除の限度額引き上げ、住宅税制において「耐震構造」を条件とした築年数条件の撤廃等の減税項目も見受けられますが、全般的には今後の増税傾向を明確化しています。また個人・法人ともに組合事業を利用した租税回避の防止措置として投資損失の損益通算が制限されることになりました。

主な改正内容については以下のとおりです。

1.個人所得課税・住民税

項目
改正前
改正後
定率減税所得税控除率20%
上限額250,000円
控除率10%
上限額125,000円
※H18.1.1から適用
住民税控除率15%
上限額40,000円
控除率7.5%
上限額20,000円
※H18.6月徴収分から適用
寄附金控除所得税限度額:総所得金額等の25%限度額:総所得金額等の30%
社会保険料控除 (国民年金保険料)の適用要件所得税規定なし保険料の支払を証する書類を確定申告書に添付、又は年末調整時に提出しなければならない
※H17年分以後について適用
人的非課税住民税年齢65歳以上の者のうち、前年の合計所得金額が125万円以下のものは住民税非課税廃止
※ H18年分以後について適用
※ H18年分・H19年分については一定の経過措置あり
支払報告書の提出対象者の拡大(特別徴収の場合)住民税1/1現在において給与の支払を受けている者退職者についても翌年1/31までに支払報告書提出(30万円以下は除外)
※H18.1.1以後退職者について適用

2.住宅税制

項目
改正前
改正後
所得税住宅ローン減税(既存住宅の範囲)
  • 耐火建築物
    :築後25年以内
  • 非耐火建築物
    :築後20年以内
(既存住宅の範囲)
  • 耐火建築物
    :築後25年以内
  • 非耐火建築物
    :築後20年以内
  • 又は
  • 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅
※H17.4.1以後取得・居住供用について適用
特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の特例(耐火建築物の範囲)
築後25年以内
(耐火建築物の範囲)
  • 築後25年以内
  • 又は
  • 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の耐火建築物
※H17.1.1以後に譲渡し、かつ、H17.4.1以後の取得について適用
贈与税相続時精算課税制度選択時の住宅取得等資金に係る特例(既存住宅の範囲)
  • 耐火建築物
    :築後25年以内
  • 非耐火建築物
    :築後20年以内
(既存住宅の範囲)
  • 耐火建築物
    :築後25年以内
  • 非耐火建築物
    :築後20年以内
  • 又は
  • 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅
※H17.4.1以後取得について適用
登録免許税
  • 住宅用家屋の所有権移転登記の税率軽減措置
  • 住宅取得資金貸付等に係る抵当権設定登記の税率軽減措置
(既存住宅の範囲)
同上
(既存住宅の範囲)
同上
(適用期限)
H17.3.31まで
(適用期限)
H19.3.31まで2年延長
住宅用家屋の所有権保存登記に係る税率軽減措置(適用期限)
同上
(適用期限)
同上

3.金融証券税制

項目
改正前
改正後
個人タンス株の特定口座への預け入れH15.4.1~H16.12.31の間に受け入れH17.4.1~H21.5.31の間に 実際の取得日・取得価額により受け入れ
特定口座管理の上場株式等の無価値化によるみなし譲渡損規定なし発行会社の清算結了等により上場株式等が無価値化したことによる損失は、一定要件の下、株式等の譲渡損失とみなす。
※ H17.4.1以後の上場株式等非該当につき適用
外貨から他の外貨への換算為替予約が付された外貨建預金に係る為替差益雑所得として総合課税20%源泉分離課税
※H18.1.1以後預入預貯金について適用
公開株式に係る譲渡所得等の課税の特例譲渡所得の1/2課税廃止
エンジェル税制(適用期限)
H17.3.31までに取得
(適用期限)
H19.3.31まで2年延長

4.国際税制
以下のとおり、国際課税を強化する措置が講じられています。

1.非居住者等に係る不動産化体株式の譲渡益課税
2.非居住者等に係る事業譲渡類似株式の譲渡益課税の範囲の拡充
3.民法組合等の外国組合員に係る源泉徴収制度の創設
4.移転価格税制の適用範囲の拡大
5.タックスヘイブン税制の適用範囲の拡充

5.民法組合等に係る損失の取扱

項目
改正前
改正後
個人所得税規定なし民法組合等に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失は無かったものとみなす。
※H18年分以後の所得税に適用
住民税規定なし同上
※H19年度分以後の住民税に適用
法人法人税規定なし
  • 組合債務の責任の限度が実質的に組合資産の価額とされている場合等には、出資額を超える組合損失は損金不算入
  • 組合事業に係る収益を保証する契約が締結されていること等により実質的に組合事業が欠損にならないことが明らかな場合には、組合損失の全額が損金不算入
※H17.4.1以後締結の契約について適用

6.その他

項目
改正前
改正後
民事再生法適用法人法人税

  • 資産の評価益・評価損計上
  • 上記の適用を受ける場合には、繰越欠損金のうち青色欠損金等以外の欠損金を優先して控除(債務免除益等の額を限度)をする
印紙税率の特例措置不動産譲渡に関する契約書(適用期限)
H9.4.1~H.17.3.31
適用期限をH19.3.31まで2年間延長
人材投資(教育訓練)促進税制法人税規定なし
  • 教育訓練費増加額又は教育訓練費に一定割合を乗じた金額の税額控除を認める
  • H17.4.1以後開始事業年度より3年間の時限措置

2004年12月21日(担当:奥村香子)

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