2004年10月25日

確認しておきたい留保金課税の不適用要件

~不適用申告を失念した場合には、更正の請求をしても還付を受けることができませんのでご注意を~

課税所得の発生している企業にとって、同族会社の留保金課税は本当に頭の痛い問題です。しかし、平成12年度以降の税制改正によって、多くの中小企業でこの課税負担を負わなくてすむようになっていることはご存知でしょうか。例えば、設立10年未満の「新事業創出促進法の中小企業者」であれば留保金課税不適用の対象となります(租法68の2)。中小企業者の定義は、下表の業種区分に応じて資本の額による基準又は従業員数による基準のいずれかを満たすこととされていますので、ほとんどの中小企業が該当します。「新事業創出促進法の中小企業者」とは、新事業を創出すると認定された特殊な企業のことではなく、普通の中小企業のことをいいます。

なお、これらの特例の適用が受けられることを知らずに過大な申告・納付をしてしまった場合には、更正の請求(還付手続き)を行っても「更正をすべき理由がない」として、過納額の還付を受けることはできません。更正の請求によって還付を受けるためには、「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「その計算に誤りがあったこと」のいずれかに該当する必要があるからです(国通23)。課税特例を適用して申告するか否かが納税者の選択に委ねられている場合、その特例を選択しないで申告したとしても、その申告もまさに法律の規定に従った適法な申告に他ならず、還付手続きをすることは認められません。

既申告分はともかく、今後申告期を迎えるものについては不適用申告の可否を入念にチェックしたいものです。

<新事業創出促進法に規定する中小企業者>

業種区分資本の額従業員数
1
製造業、建設業、運輸業、その他の事業
(2から7までの業種を除く)
3億円以下
300人以下
2
卸売業
1億円以下
100人以下
3
サービス業(6及び7の業種を除く)
5,000万円以下
100人以下
4
小売業
5,000万円以下
50人以下
5
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下
900人以下
6
ソフトウェア業又は情報処理サービス業
3億円以下
300人以下
7
旅館業
5,000万円以下
200人以下

2004年10月25日(担当:石渡正樹)

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