カテゴリー「不動産税務・不動産流動化」

  • 金商法改正で不動産流動化が動き出すか?

     金融商品取引法の改正案が国会に提出されていますが、その中に「プロ等に限定した投資運用業の規制緩和」という注目すべき改正案があります。現行法で投資運用業を行う場合には、販売勧誘について第一種金融商品取引業(組合出資持分等については第二種金融商品取引業)の登録、運用について投資運用業の登録が必要です。投資運用業の登録要件は投資家保護の観点から厳格かつ画一的であり、投資家がプロだけに限定している場合であっても未登録業者は投資運用業を行うことはできませんでした。そこで今回の改正で、投資運用業の登録要件を一部緩和した適格投資家※1 向け投資運用業(投資運用業のうち、全ての運用財産に係る権利者が適格投資家のみであって、その総額が一定の金額を超えないもの)という特例を新設することで、投資運用業の立上げを促進することにしたようです。

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  • 原状回復費用の見積計上は被災地復興の一助になるのか

     東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

     東北・関東地方に物件をお持ちで、被害を受けた方々も多くいらっしゃると思いますので、今回のレポートでは、今般のような震災で、法人の保有する物件が被災し原状回復費用を支出した場合の税務上の取り扱いについて説明します。

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  • 保証金の持ち回りをした場合の税務会計上の取扱い

     賃貸不動産の売買があった場合に、買主は不動産の取得と同時に売主が賃借人に対して有している敷金や保証金(以下、「保証金等」といいます。) の返還債務を引き継ぐことになります。そのため売買時に保証金等相当額と売買代金を相殺する方法や売買代金とは別に保証金等相当額の決済をする方法により保証金等の精算が行なわれます。例えば、売買代金1億円、預かり保証金500万円の不動産売買では、相殺後の9500万円で決済したり、1億円の決済とは別に500万円の決済をしたりします。この場合、売買代金の決済と保証金等の精算は別取引ですので、税務会計上、売主の不動産譲渡対価は1億円となり、買主の不動産取得価額も1億円となります。

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  • 不動産流動化、イグジットでの源泉徴収義務にご注意を!

     最近、GK-TKスキームによる不動産流動化のイグジットでよく目にするケースがあります。それは、①LTVやDSCRなどの指標が基準値に抵触して、または②リファイナンスの条件として、配当停止となったため、毎期の匿名組合決算で継続して利益分配額が発生していても金銭が交付できない状態(以下、「未払分配金」といいます。)が継続し、イグジットでは厳しい不動産売却交渉を経て売却損が発生した結果、最終的に匿名組合員へ未払分配金および元本の一部または全部の支払が行えないケースです。

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  • 当初出資金額よりも廉価で匿名組合出資を譲受けた法人が匿名組合分配損
    失を受けた場合の取扱い

    昨今の不動産市況の急速な悪化に伴い、SPC(営業者)への一般的な匿名組合出資※1を通じて保有している物件の価値が大幅に下落しています。また、借入返済期限までに物件を売却できず、リファイナンスを余儀なくされ、SPC(営業者)の借入金の金利負担も増大しています。これらのことから、上場会社等は、引き続き物件を保有する場合の連結上の減損損失発生や金利負担増を防ぐため、匿名組合出資を当初出資額よりも廉価で連結子会社以外の会社に譲渡し、SPC(営業者)を連結対象外とする場合があります。

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  • 個人が平成21年中に取得した土地等について先行取得土地等の届出書を提出する際には一考が必要な場合も

     2009年6月30日UAPレポートでご紹介したとおり、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う個人が平成21年中に土地等を取得し、一定の要件を満たす場合には、平成22年3月15日までに租税特別措置法第37条の9の5第1項の規定による先行取得土地等の届出書を提出しておくことがおすすめです。取得年の翌年以降10年間、土地等の譲渡益(事業の用に供しているものに限られます。)について最大8割の課税の繰延べができる効果に加えて、特例の適用を実際に受けるか否か、特例の対象とする土地等が複数ある場合の選択について後日柔軟な対応が可能なことがその主な理由です。

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  • 一般社団・財団法人の保有不動産を活用するビジネススキーム

     新公益法人制度の全面施行に伴い従来の公益法人は特例民法法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」といいます。)41、42)となり、平成25年11月30日までに、公益社団・財団法人又は公益社団・財団法人以外の一般社団・財団法人(以下「一般法人」といいます」。)への移行申請につき行政庁から認定又は認可を受けることが必要となりました。

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  • 一般社団法人法施行に伴う既存の中間法人および合同会社に必要な変更登記手続き等

    平成20年12月1日に一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「一般社団法人法」という)が施行され、中間法人法が廃止されます。既存の有限責任中間法人については、一般社団法人法の施行日に、何らの手続を要せずに、当然に、一般社団法人となり、一般社団法人法の適用を受けることになりますが、不動産流動化で多く利用されてきた有限責任中間法人および合同会社について、下記のような変更登記等必要な手続きが発生します。

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  • 特定目的会社等における外国税額控除の取扱い変更について ~平成20年度税制改正より~

     平成20年度税制改正では、「特定目的会社に係る課税の特例等について、特定目的会社等が納付した外国法人税の額は、現行の外国税額控除に代えて、特定目的会社の利益の配当等に対する所得税の額から控除すること」とし、「その控除限度額は、当該所得税の額とする。」(平成20年度税制改正の要綱:平成20年1月11日閣議決定)となりました。この改正は「平成20年4月1日以後に開始する事業年度に係る利益の配当等に対する所得税の額について適用」されます。

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  • 特定目的会社に係る平成20年度税制改正

    自由民主党が平成19年12月13日付にて公表した平成20年度税制改正大綱によると、特定目的会社について下記の改正を行うこととされています。

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  • 不動産流動化スキームに与える信託損失の影響

    平成19年度税制改正で、信託法の改正に伴い、法人が受益者である場合の信託損失の損金算入に関する制限規定が設けられました。具体的には、法人が受益者である信託が受益者等課税信託に該当する場合で、「①受益者が直接に信託債務を負担するものでない場合」には、信託損失のうち調整信託金額を超過する部分が損金不算入となりました。また、「②信託財産に帰せられる損益が実質的に欠損とならないと見込まれる場合」には、信託損失が全額損金不算入となりました。

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  • 適格機関投資家の範囲拡大はTMKスキームには適用せず~租税特別措置法施行規則の改正より~

    財務省は平成19年9月27日付にて租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令を公布しました。これによりますと、TMKスキームにおけるペイスルー要件に係る適格機関投資家の範囲は、金融商品取引法において拡大された適格機関投資家の範囲ではなく、租税特別措置法施行規則第22条の18の4に規定する範囲に限られることが分かりました。租税特別措置法施行規則第22条の18の4に規定する適格機関投資家の範囲(抜粋)は下記の通りです。

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  • 不動産流動化に特定受益証券発行信託を利用することで消費税が有利に?

    平成19年9月30日に施行される改正信託法では新たな信託として受益証券発行信託が定められました。これまで、貸付信託、投資信託及び特定目的信託に限られていた受益権の証券化が一般に認められるようになっています。

    受益証券発行信託の中でも税務上一定の要件に該当する者を受託者とし、過度な繰延べが生じない信託として一定の信託を「特定受益証券発行信託」としていますが、この「特定受益証券発行信託」を不動産の流動化スキームに応用した場合に、消費税が有利になるケースがありそうです。

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  • 建物を税務上有利に転売するための消費税簡易課税の選択

    ~不動産譲渡が第一種事業(卸売業)に当たるとされ、事業者にとって有利なみなし仕入率90%が適用された事例(平成18年12月13日裁決より)~

    1.現行実務の取り扱い

    SPCの不動産を売却する事業年度については、しばしば簡易課税制度を選択し、申告・納付を行います。原則課税の場合に比べ、納税額が少なくなるためです。(下記数値例参照)


    前提
    建物売上: 10億円
    売却手数料等: 3000万円

    原則課税の場合の納税額
    10億円×5% ー 3000万円×5% = 4,850万円

    簡易課税制度を選択した場合の納税額
    10億円×5% ー 10億円×5%×60%=10億円×5%×(1-60%)=2,000万円
                    みなし仕入率


    上記のように、簡易課税制度を選択した場合の消費税額は、課税売上高の5%に(1-みなし仕入率)を乗じた金額になります。したがって、みなし仕入率が大きければ大きいほど、消費税の納税額は少なくてすみます。

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  • 中間法人に対する基金拠出も集団投資スキーム持分と認定される可能あり~金商法パブコメに対する金融庁の考え方より~

    金融庁は平成19年7月31日付にて「金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対するパブリックコメントの結果等を公表しました。
    この中で倒産隔離性を実現することを目的とする有限責任中間法人に対する基金拠出に係る権利について、「集団投資スキーム持分」から一律に除外されるものではないことを明確にしました。
    有限責任中間法人に関しては、残余財産分配を通じて収益を還元することが可能であり、投資ビークルとして活用される可能性があるためと説明されています。
    これにより、合同会社等の社員権等を有する既存案件の有限責任中間法人については、原則として「投資運用業」の登録が必要になります。

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  • 金融商品取引法の施行で再注目されるTMKスキーム~早ければ2007年9月にも本格施行~

    2006年6月に成立した金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)は、早ければ2007年9月にも本格施行と言われ、不動産投資スキーム及び不動産業界に多大な影響を及ぼすことが予想されています。以下いわゆるTKスキームの運用に係る規制について検討します。

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  • SPCの不動産売却時に留意したい固都税の取扱い

    固定資産税及び都市計画税(以下、固都税といいます。)は賦課課税方式の租税といい、原則、賦課決定のあった日の属する事業年度において損金計上することとされています(法人税基本通達9-5-1)。固都税の場合、1月1日時点の固定資産の所有者に対し納税義務が生じますが、6月1日頃(自治体により異なります)に賦課決定があるため、納税義務の発生と損金計上の時期に約5ヶ月のずれが生じます。そのため、匿名組合出資を受けているSPC については、年初に物件を売却したとしても、最終の匿名組合損益分配は、固都税の賦課決定日以降となります。

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  • 不動産流動化・証券化による利益分配額の減少が見込まれます!~平成19年度税制改正「減価償却制度の改正」より

    平成19年の税制改正において、減価償却制度の改正が行われることとなりました。これは、減価償却制度について欧米等主要国との制度格差を無くすことによる国際的競争力の強化及び減価償却費の増加に伴い投下資本をより早期に回収できることとなったことによる新規設備取得への投資等を期待するものです。

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  • 中間省略登記が認容される場合と課税上の取扱い

    従来、不動産の売買において、副本申請の方法により事実上認められていた「中間省略登記」は、登記原因証明情報の添付を必須とする平成16年の不動産登記法改正後はできなくなっていました。

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  • リース会計基準の変更が不動産実務に与える影響

    平成18年12月に企業会計基準機構から「リース取引に関する会計基準(案)」が公表され、リース取引に係る会計処理の取扱いが変更されることが明らかになりました。

    さらに、平成19年度の税制改正で、税務においても所有権移転外ファイナンス・リース取引につき原則として会計処理と一致する取扱いになることが明らかになりました。すなわち、借り手のリースの簡便性を維持するために、変更後リース会計基準と同一の税制上の処理が認められます。今後、リース取引に関する税務と会計の処理は原則として一致することになります。

    ただし、税務が会計と全く一致するかどうか、既存の税務上の取扱いがどのように変更するかなどの詳細は明らかになっておらず、今後の法令・通達等の改正を待津必要があります。

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  • 匿名組合契約に係る源泉徴収の人数要件が撤廃されました~平成19年度税制改正より

    自由民主党が平成18年12月14日に決定した平成19年度税制改正大綱には、匿名組合契約に係る源泉徴収について下記の改正をする旨が記載されています。

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  • 「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(平成18年9月8日企業会計基準委員会)が不動産証券化にもたらす影響

    企業会計基準委員会は平成18年9月8日に「実務対応報告第20号 投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(以下「本報告」という。)を公表しています。ライブドア事件をはじめとする証券投資ファンド(主に投資事業有限責任組合又は民法上の組合を活用したファンド)に係る不適切な会計処理が問題視されたことから公表された本報告ですが、商法上の匿名組合として組成された投資事業組合も対象になるとされていることから、不動産証券化にも影響を与える内容となっています(但し肝心の投資事業組合そのものは定義されていません)。本報告において、投資事業組合が匿名組合として組成された場合の取扱いは下記の通りとされています。

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  • 中間法人法の廃止が証券化スキーム実務に与える影響について

    多くの証券化スキームにおいてSPVの株式等を保有するヴィークルとして利用されてきた有限責任中間法人ですが、本年6月2日に公布された一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「新法」という)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という)の施行(施行日未定:公布の日から2年6ヶ月以内(新法附則1))により、その根拠法である中間法人法が廃止されることになりました(整備法1)。

    新法施行後の証券化スキームにおいては、有限責任中間法人に代わるヴィークルとして一般社団法人の利用が予想されておりますが、両者はいくつかの点で異なる特徴を有しているため、予め検証をしておくことが必要になります。

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  • 営業者で発生した税務否認金を匿名組合契約に基づき出資者に分配することは可能か

    現在流動化スキームにおけるビークルとして広く用いられている匿名組合は、同様にパススルー事業体としての性格が確保されている組合事業体である任意組合とは異なり、営業者が一次的に法人税の課税対象とされることから、営業者段階で税務否認金が生じる場合が想定されます。
    この営業者で生じた税務否認金を出資者である匿名組合員に分配することは税務上可能でしょうか。

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  • 新会社法施行で有限会社の代わりに使われる不動産流動化ヴィークルは何か

    自民党の法務部商法小委員会によると会社法の施行日が平成18年5月を目途とされており、いよいよ会社法に対する備えを本格的にすべき時期になってきました。平成18年5月以降の不動産流動化はどのようなSPVを活用することになるのでしょうか。

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  • 特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A(公開草案)が公表されました

    日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)は平成17年7月4日に「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」(公開草案)を公表しています。特別目的会社(以下「SPC」という)に関係する会計基準等として「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(以下「実務指針」という)」等が既に公表されていますが、最近その取引が急拡大しており、監査上の留意点を取りまとめたとしています(公開草案ですから最終的なものではありません)。従来の取り扱いを変更する内容はありませんが、オフバランス処理及びSPC非連結について今後より厳しく監査されることが予想されます。以下気になる点をピックアップしてみました。

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  • SPC(営業者)が所有する含み益不動産を対象に匿名組合出資を受け入れた場合の課税関係

    典型的なYK‐TK方式による不動産流動化案件では、SPCにおけるプロジェクト必要資金額からデット調達額を差し引いた金額が自動的にエクイティ必要額(匿名組合出資金額)として算定されます。ところが営業者が従来から所有する含み益不動産を対象に匿名組合出資を受け入れる場合には、自動的にはエクイティ必要額が算定されません。特に親子会社間等の特殊関係者間では、いくらでも構わないとして過少出資になりがちです。そしてこの場合でも一般的な匿名組合契約と同様に不動産事業に係るすべての損益を分配すると契約しています。問題ないのでしょうか?

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  • 日本版LLPや合同会社は流動化SPVとして活用できるか

    経済産業省が平成17年2月を目処に通常国会に提出する予定のLLP法案(仮称)により日本版LLP(有限責任事業組合)という新たなパススルー・ヴィークルが誕生します。また平成18年4月1日からの施行が見込まれている新会社法により合同会社(日本版LLC)という新たなヴィークルが誕生します。これらは米国におけるLLPやLLCのように流動化SPVとして活用される可能性はあるのでしょうか?

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  • 土地建物等の契約日基準による平成15年中の譲渡申告が今からでも認められます!

    ~平成16年8月4日付で国税庁課税部が事務連絡を発遣~

    平成16年度の税制改正で、居住用以外の土地建物等の譲渡損益と他の所得の損益通算が認められなくなり、また、譲渡損失の翌年以後3年間の繰越が認められなくなりました。長期譲渡所得の100万円特別控除も廃止されています。この改正税法は平成16年4月1日に国会で可決・成立したにもかかわらず、平成16年1月1日にさかのぼって適用されたために、「不利益不遡及」の原則から問題があると批判され、課税当局側の期限後対応が注目されていました。

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  • 不動産譲渡に係る繰越損失に要注意

    ~平成15年度の不動産譲渡繰越損失を平成16年度の不動産譲渡益から控除することはできません!~

    平成16年度の税制改正で平成16年1月1日以後の居住用以外の土地建物の譲渡により発生した譲渡損失は、他の所得との損益通算ができなくなり、かつ翌年以後3年間の繰越も認められなくなりました。

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